目次
実験詩集

浅見秀雄

情報技術
コンピュータウィルス

またも蔓延、社内にウィルス
相も変わらず注意がお留守
怪しいメールに付いてるファイル
クリックしちまう奴がいる

インターネットに飛び交うメール
世の中ウィルスのバーゲンセール
一人一人が気を付けなくちゃ
情報インフラめっちゃくちゃ

ウィルス対策ソフトを使い
防御してても危険はでかい
ワクチン遅れりゃタッチの差
ウィルスが入ってしまうのさ

それじゃどうすりゃいいんだい?
それは確かに大問題
怪しいメールの見分け方
ちゃんと聴いてよ、そこの方

* * * * *

ファイル付きなら差出人
知ってる人かをまず確認
変なアドレスだったら即時
消さなきゃウィルスの当たりくじ

知ってる人でも気を付けましょう
ウィルスによくあるアドレス詐称
それでだますという作戦
引っかかってはいけません

本文見てみりゃ、おや、英文
そういうウィルスが大部分
もしもあなたに外国人
知り合いいなけりゃご用心

ともかく本文よく見てみよう
添付ファイルでどういう御用?
何のファイルか詳細な
説明書かれているかいな?

読めば読むほど疑念が増す
怪しい言葉もよくあります
基本ソフトの修正パッチ?
そいつは嘘だとすぐ察知!

知り合いだったらわかるでしょう
読めば湧き出てくる印象
説明している言葉の個性
その人自身か確認せい

確認できなきゃ末尾の署名
あればよいけど、そいつも不明?
ならば連絡して照会
「ほんとにあなたのメールかい?」

確認できたらまず安心
おっと、ワクチン、今最新?
ならばウィルスはおそらく降参
開けていいです、ご苦労さん
電子メールセキュリティ(一)

上司のメールは一方的
命令口調にもう辟易
内緒のメールで仲間にこぼす
「これが困るよ、うちのボス」
返信操作で引用し
書き終え送信した拍子
あっと気付いた私はとんま
宛先、上司にしたまんま
電子メールセキュリティ(二)

迷惑メールが毎日どっさり
数の多さにもううんざり
だけど中にはこういう案内
書いたメールも少なくない
「送信停止はこちらへどうぞ」
ならば要求しましょうぞ
するとそのあとかえって増加
アドレスばれた?あっ、そうか!
電子メールセキュリティ(三)

「久しぶりだね、元気か、君
僕はこのごろ気疲れ気味
ときに仕事の質問いいかい?」
こんな書き方、不正解
質問メールは部署内開示
なぜなら組織の答えが大事
内輪話は書かぬがよろしい
洩れてしまうよ、プライバシー
電子メールセキュリティ(四)

返信したのに「返事はまだか」
変だな、送ったのは定か
よく見りゃ差出人アドレス
あなたの設定間違いです
すると返事は他人へ誤送?
情報漏洩、びびりそう
誤送先から通報、いわく
「こちらも被害者、大迷惑」
電子メールセキュリティ(五)

内緒のコピーにBCC
実は使うと危なっかしい
隠しコピーの受取人
気付かず全員宛返信
内緒をばらすというボケかます
そうなりゃ言い訳どうします?
コピーは別個に送りましょう
一度で済まそうとは無精
(ただし特定グループ内
了解あるなら問題ない)
電子メールセキュリティ(六)

多くの知人に挨拶状
同報するのがこれ通常
宛先欄内アドレス羅列
おっと、待ちなよ、そりゃ愚劣
みんなに互いのアドレスばらす
それはきわめてデンジャラス
アドレス表示は隠すがよろしい
こんな時こそBCC
電子メールセキュリティ(七)

ちょっとのアドレス打ち間違い
エラーで返れば問題外
だけど普段はアドレス帳
使っている人多いでしょう
ちょっとのクリック位置間違い
誤送になるから超有害
たとえメールが大至急
それでもあわてず、ひと呼吸
電子メールセキュリティ(八)

メールを書いてる途中で電話
はいはい、お待たせしませんわ
メールを書いてる途中で呼び出し
すぐに行きます、急用だし
終わってメールに戻るととかく
宛先確認、注意を欠く
割り込み仕事はミスへの誘い
誤送してからでは遅い
電子メールセキュリティ(九)

「あんたのメールは超不愉快
迷惑メールはやめんかい!」
怒りのメールに私は呆然
心当たりはございません
そういや私の所へどしどし
届くエラーの差し戻し
アドレスかたられ受けてる被害
私の方こそ超憤慨
迷惑電話対策
居留守電話

作動しました留守番電話
お手数おかけはしませんわ
ピーッと鳴ったらあなたのお名前
言って三秒待ちたまえ
いれば出ますが、出なけりゃしばらく
あとであなたにご連絡
迷惑電話で日々再々
困ってるんです、ごめんなさい
セールス電話撃退法

セールス電話がしょっちゅうかかり
出ればうんざりすることばかり
「投資しません?お客さん」
そんな勧誘、もうたくさん
先物、マンション、儲けの話
きっぱり言うべし、「興味なし!」
なおもあれこれ言っても一切
聞かず電話を切りなさい
韻律論
日本語韻概説

韻はもともと外国生まれ
日本じゃ韻踏むことはまれ
日本語韻の難しさ
やる人ほとんどいないしさ
いきおい同語の繰り返し
それをやったら韻は壊死
意味異なる語の同音拾い
してこそ韻は面白い

たとえば漢詩をご覧なせえ
挙げるは著名な詩「偶成」
 少年易老学難成
 一寸光陰不可軽
「成」と「軽」とは語が異なり
されど同音含むなり

英語の韻もまた同様
「きらきら星」という童謡
 Twinkle, twinkle, little star.
 How I wonder what you are!
「star」と「are」とは違う語ですが
音をそろえるのがさすが

難しいけど、言葉のスキル
あれば日本語でもできる
韻になる語を探してみよう
頭脳パワーをフル活用
やってみました、ほらこのとおり
ちゃんとできるという道理
韻を踏む詩は言葉のパズル
解けば響きが湧きいずる
贈呈詩
あきもとみほです

たしのお勤め第一生命
っと世間じゃ超有名
っとあなたをサポートしたい
くべつサービス乞うご期待
ほの名前をお忘れなく
っとかれたならあたしは泣く

(保険会社勤務の女性に贈呈。ご本人公表承諾。)
ゆいちゃん

うちの娘の名前はゆい
さすが俺の子、超かわゆい
パパと呼ばれりゃとたんに目尻
垂れて幸せ丸かじり

(ゆいちゃんのパパに贈呈。)
恋愛歌
籠の鳥

熱く心に燃える火と
愛を教えてくれた人
涙つかの間あふれてぽとり
私、切ない籠の鳥

今日も会えない、でもきっと…
信じたいのについ嫉妬
どこに捨てたの、心のゆとり
私、愚かな籠の鳥

狭い鳥籠打ち破り
逃げて来いとはただそぶり
さりげない目に偽り見取り
私、悲しい籠の鳥

ゆくえわかっていた出会い
実るはずなく去った愛
願いかなわず残され独り
私、淋しい籠の鳥
文学作品要約
蜘蛛の糸(芥川龍之介)

悪の限りを尽くしたカンダタ
死後の報いは地獄の沙汰
けれど唯一善い行い
蜘蛛への憐れみ、忍びない
極楽浄土へ救いに蜘蛛の
糸が降りたが「俺のもの!」
お慈悲給うたお釈迦様
カンダタ、無にしてまっさかさま
伊豆の踊子(川端康成)

天城峠で出会った乙女
芸人一家で踊りが務め
十七八かに見えれども
素顔見せればまだ子ども
一家と親しくなった頃
乙女にほのかな恋心
旅の終わりに別れの言葉
言えぬまま手を振る波止場
漢詩訳
偶成(朱熹)

学び尽くさず過ぎる年
まさに光陰矢の如し
青春謳歌のパワーはどこへ
気が付きゃ人生、秋の声

[少年老い易く 学成り難し
 一寸の光陰 軽んず可からず
 未だ覚めず 池塘春草の夢
 階前の梧葉 已すでに秋声]
酒を勧む(于武陵)

金の杯さかずき、ほら受けたまえ
遠慮するなよ、俺の前
花咲きゃ嵐に遭う間の悪さ
人生、別れもよくあるさ

[君に勧む 金屈巵きんくつし
 満酌 辞するを須もちいず
 花発ひらきて 風雨多し
 人生 別離足る]
春暁(孟浩然)

春のあけぼの、さす光
鳥の鳴く声真っ盛り
夜の嵐であのたおやかな
花はずいぶん散ったかな

[春眠 暁を覚えず
 処処 啼鳥を聞く
 夜来 風雨の声
 花落つること知る 多少]
不識庵の機山を撃つ図に題す(頼山陽)

闇夜、謙信、川を越え
夜明け、上げるはときの声
ここにまみえる宿敵二人
無念、信玄、逃したり

[鞭声 粛粛 夜 河を過わた
 暁に見る 千兵の大牙を擁するを
 遺恨なり 十年 一剣を磨き
 流星光底 長蛇を逸す]
(不識庵=上杉謙信
 機山、長蛇=武田信玄)
江雪(柳宗元)

山に見ぬ鳥どうしているか
人の足跡なき道はるか
舟に蓑笠着て独りきり
釣りの翁おきなに雪しきり

[千山 鳥の飛ぶこと絶え
 萬徑ばんけい 人蹤じんじょう滅す
 孤舟こしゅう 蓑笠さりゅうの翁おう
 独り釣る 寒江かんこうの雪]
金州城下の作(乃木希典)

激戦砲火のやみし後
はるか荒れたる異国の地
言葉出ぬままたたずむ馬上
夕日落ちゆく金州城

[山川草木 転うたた荒涼
 十里 風腥なまぐさし 新戦場
 征馬前すすまず 人語らず
 金州城外 斜陽に立つ]
元二の安西に使いするを送る(王維)

雨が宿場の砂塵を流し
柳並木はすがすがし
交わす別れの杯さかずき二つ
君は西へと旅にたつ

[渭城いじょうの朝雨 軽塵をうるおす
 客舎かくしゃ青青柳色新たなり
 君に勧む 更に尽くせ 一杯の酒
 西のかた陽関を出ずれば故人無からん]
(「うるおす」の漢字は三水偏に「邑」。)
酒に対す(白楽天)

狭いこの世で、なぜいがみ合い
生まれ合わせて、なぜない慈愛
隔てなく皆いっしょに飲もう
人生、笑いがなきゃ不毛

[蝸牛角上 何事かを争う
 石火光中 此の身を寄す
 富に隋したがい貧に隋いて且しばらく歓楽せん
 口を開いて笑わざるは是これ痴人]
静夜思(李白)

とこの明るき月夜には
霜の降りたる如き庭
山に望月もちづき見て切なさと
涙こみ上げ、思う里

[牀前しょうぜん 月光を看る
 疑うらくは是これ地上の霜かと
 頭こうべを挙げて山月を望み
 頭を低れて故郷を思う]
村の夜(白楽天)

草に隠れて虫が鳴く
道を行く人、姿なく
あれは雪かと見まがうばかり
蕎麦の畑に月明かり

[霜草そうそうは蒼蒼として虫は切切
 村南 村北 行人こうじん絶ゆ
 独り門前に出て野田を望めば
 月明らかにして蕎麥きょうばくの花 雪の如し]
絶句(杜甫)

川に白鳥しらとり、山には草木
野原彩る花が咲き
春は過ぎゆく、古里いとし
いつになるやら、帰る年

[江こうみどりにして 鳥逾いよいよ白く
 山青くして 花然えんと欲す
 今春 看すみす又過ぐ
 何いずれの日にか是これ帰年ならん]
秋浦歌(李白)

とある出来事起こってからが
愁い続きで、すっかり白髪しらが
ふけた頭が鏡に映り
霜のようだと、ついぽつり

[白髪三千丈
 愁いに縁りて箇かくの似ごとく長し
 知らず 明鏡の裏うち
 何処いずこか秋霜を得し]
酒家に題す(韋荘)

散りゆく桜をめでながら
岸辺の飲み屋でひもすがら
詩を詠み、ちびちび飲む酒うまい
世捨て人にはわかるまい

[酒緑 花紅 客は詩を愛す
 落花 春岸 酒家の旗
 尋思じんしするに世を避けて逋客ほかくと爲
 酔わずして長く醒むるも也またこれ
春望詞(三)(薛濤)

風に散る花、残り香かすか
いつかあなたに会えますか
結ばれないまま涙がぽとり
草を結んでただ独り

[風花 日に将まさに老いんとす
 佳期 猶なお渺渺びょうびょう
 結ばず 同心の人
 空しく結ぶ 同心の草]
無題(良寛)

国を飛び出て一心不乱
虎を描いたが、猫にもならん
名前負けする悔やみの多さ
わしは未熟な栄蔵さ

[少年 父を捨て他国へ走る
 辛苦 虎を描きて猫にも成らず
 人有りて若し箇中こちゅうの意を問わば
 箇これは是これ従来の栄蔵生]
(栄蔵=良寛の幼名)
梅雨に郷を憶う(頼山陽)

街はひと時、空青々と
晴れてパカパカ馬車の音
里の庭では梅熟しつつ
落ちてぽとぽと四つ五つ

[満巷の深泥 雨乍たちまち晴れ
 輪蹄 絡繹として門を過ぎて行く
 故園 昔日 西窓の底
 臥して数う 黄梅の地に墜つるの声]
凱旋(乃木希典)

日露戦勝、迎えの凱歌
されど犠牲は我が身の罪過
帰らぬ兵士の命が悲し
父母に合わせる顔もなし

[皇師百万 強虜を征す
 野戦攻城 屍 山を作
 愧ず 我 何の顔ありてか父老に看まみえん
 凱歌 今日 幾人か還る]
時に憩う(良寛)

山に入って柴を刈り
家路、疲れは増すばかり
松の木の下、憩えばかすか
聞こえくるのはうぐいすか

[薪たきぎを担いて 翠岑すいしんを下る
 翠岑 路みちは平らかならず
 時に憩う 長松ちょうしょうの下
 静かに聞く 春禽しゅんきんの声]
竹里館(王維)

誰も邪魔せぬ夜中の林
月の光が心を癒し
琴や詩吟で至福の時間
過ごす庵いおりは竹里館

「独り坐す 幽篁ゆうこうの裏うち
 彈琴し 復また長嘯ちょうしょう
 深林 人知らず
 名月来たりて相照らす]
春望詞(四)(薛濤)

花が咲くほどせつない心
あなた思って泣いてたところ
朝の鏡に吹く穏やかな
春の風、今、見てたかな

[那んぞ堪えん 花 枝に満つるに
 翻かえって両相思を作
 玉箸ぎょくちょ 朝鏡に垂る
 春風 知るや知らずや]
趙村の杏花に遊ぶ(白楽天)

趙へ来たのはもう何回か
赤い杏が今年も開花
これが見納め、最後の遊山
なにせわしゃもう七十三

[趙村の紅杏こうきょう 毎年開く
 十五年来 看ること幾廻ぞ
 七十三の人は再び到り難し
 今春来たるは是これ花と別れんとして来たる]
春望詞(一)(薛濤)

花を語らう思いが届く
それを夢見る私は孤独
咲く時?散る時?二人の会話
いつになるのか知りたいわ

[花開くも同には賞せず
 花落つるも同には悲しまず
 問わんと欲す 相思の處ところ
 花開き花落つるの時]
春望詞(二)(薛濤)

草を結んでほのかな期待
込めてあなたに遺したい
うれしさつかの間、悲しく聞こえ
涙に戻すは鳥の声

[草を攬りて同心を結び
 将まさに以って知音に遺さんとす
 春愁 正に断絶す
 春鳥 復また哀吟す]
涼州詞(王翰)

涼州葡萄酒、さあ持って来い
琵琶を聴きつつ一夜の憩い
酔って臥すとて笑うは無情
明日は知れないこの戦場

[葡萄の美酒 夜光の杯
 飲まんと欲すれば 琵琶 馬上に催す
 酔いて沙場に臥すとも君笑うこと莫なか
 古来 征戦 幾人か回かえる]
夜雨北に寄す(李商隠)

君の手紙がつらくて読めん
帰る見込みはまだない、ごめん
いつか今夜の涙のような
雨の巴山はざんを語ろうな

[君は帰期を問うも未だ期有らず
 巴山の夜雨 秋池に漲みなぎ
 何いずれか当まさに共に西窓の燭を剪りて
 却かえって巴山夜雨の時を話すべし]


型の説明

  1.  各行の律は、次に示す四種類の調のいずれかの形をとる。

    律拍
    七五調 ◎● ●● ●● ●● ●● ●● ●○ ――
    七六調 ◎● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ――
    七七調 ◎● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●○
    七八調 ◎● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●
    ◎:休止でも実音でも可(ただし、七八調の次の行では休止)
    ●:実音(八分音符相当)
    ○:休止(八分休止符相当)
    ――:一律拍の休止(四分休止符相当)

     七五調、七七調の律はそれぞれ、七七七五調(民謡や都々逸に見られる。字脚じあし三・四・四・三・三・四・五)の後半、前半と同じである(第一句が八音になってもよいことも民謡や都々逸と同じである)。七六調、七八調の律はそれぞれ、七五調、七七調の末尾を一音増やしたものである。

    七五調 先頭休止(七・五) ちゃんと聴いてよ、そこの方
    先頭実音(八・五) 怪しいメールの見分け方
    七六調 先頭休止(七・六) 読めば読むほど疑念が増す
    先頭実音(八・六) 怪しい言葉もよくあります
    七七調 先頭休止(七・七) 添付ファイルでどういう御用?
    先頭実音(八・七) ともかく本文よく見てみよう
    七八調 先頭休止(七・八) ならばウィルスはおそらく降参
    先頭実音(八・八) 迷惑メールが毎日どっさり

    民謡に見られる実例
    花笠音頭 めでためでたの 若松さまよ 七七調(先頭休止)
    枝も栄えて 葉も茂る 七五調(先頭休止)
    北海盆歌 北海名物 数々あれど 七七調(先頭実音)
    おらが国さの 盆踊り 七五調(先頭休止)
    よさこい節 土佐の高知の はりまや橋で 七七調(先頭休止)
    坊さんかんざし 買うを見た 七五調(先頭実音)
    串本節 ここは串本 向かいは大島 七八調(先頭休止)
    中をとりもつ 巡航船 七六調(先頭休止)

     七八調は行末に休止を持たないため、次の行にかけて休みなく実音が連続しないように、次の行は先頭休止の律にしなければならない。

    ならばウィルスはおそらく降参
    開けてもいいです、ご苦労さん
    不可
    ならばウィルスはおそらく降参
    開けていいです、ご苦労さん

  2. 破調
     民謡や都々逸と同じく、第一句から第二句にかけて実音が連続する律にするのが原則であるが、次の破調が許容される。

    • 第一句の字脚四・三(第一句の末尾が休止)

      律拍
      ●● ●● ●● ●○ ●● ●● ●◎ ◎◎

       ただし、七八調の次の行ではこうしてはならない。

      アドレスばれたと?あっ、そうか! 正調
      アドレスばれた? あっ、そうか! 破調


  3. 音数の詰め込み
      会津磐梯山は 宝の山よ 笹に黄金こがねが なり下がる (民謡「会津磐梯山」)
    が七七七五のリズムで朗誦できることからわかるように、一音節化する二音(二音目が「い」、長音、「ん」、「っ」)を一音分の一拍で読むように音数を詰め込めることがある。

    逃げて来いとはただそぶり 規定音数
    逃げて来いなんてただそぶり 詰め込み

  4. 調の配置
     息継ぎのしやすさとリズムの落ち着き感のために、四行目ごと、および最終行は、行末に一律拍の休止を持つ七五調または七六調にすることが望ましい。それ以外の行では、四種類の調を任意の順序で配置してよい。

    またも蔓延、社内にウィルス
    相も変わらず注意がお留守
    怪しいメールに付いてるファイル
    クリックしちまう奴がいる
    七七調
    七七調
    七七調
    七五調
    確認できたらまず安心
    おっと、ワクチン、今最新?
    ならばウィルスはおそらく降参
    開けていいです、ご苦労さん
    七六調
    七六調
    七八調
    七六調

     なお、一つの調に揃える、調の配置に規則性をもたせるなどの制約を課すことは、作る人おのおのの自由である。

  5. 脚韻
     二重韻(一母音+一音合わせ)は、脚韻の二音が律拍の境界に収まるように、七六調または七八調で踏まなければならない。
     脚韻の組のいずれか一方でも七五調または七七調になるならば、拡充二重韻(二音合わせ)以上の長さの脚韻にしなければならない。

    七五調
    七七調
    二重韻 またも蔓延、社内にウィルス
    注意受けても記憶をなくす
    不可
    拡充二重韻以上 またも蔓延、社内にウィルス
    相も変わらず注意がお留守
    七六調
    七八調
    二重韻 上司のメールは一方
    命令口調にもう辟
    拡充二重韻以上 ならばウィルスはおそらく降参
    開けていいです、ご苦労さん

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