オートマチック車のセレクターレバーは、走行中にR(後退)ポジションに入れるなどの危険な操作を防ぐために、ストッパー機構が働くようになっています。そして、ストッパーを解除するためにボタンを押さなければならないようになっています(車種によっては、レバーを横に動かすタイプのものもあります)。
セレクターのポジションの並びにはいくつかのタイプがありますが、最も一般的なものの一つを示します。
ここで、矢印は、各ポジションからその方向へ移動する時にボタンを押さなければならないことを示します。それ以外の方向、すなわちR→N→D、L→2→D→Nは、ボタンを押さなくても移動できます。
ところが、レバーを動かす時にはいつもボタンを押す人がいます。これではストッパー解除ボタンの意味がなくなり、危険な操作をしてしまうおそれがあります。
ストッパー解除ボタンは、必要な時だけ押すのが正しい使い方です。そうすれば安全に操作できます。そのこつを説明します。
- 駐車→前進
Pポジションでボタンを押してレバーを後方へ引きます。Rに向かってレバーが動き始めたらすぐにボタンを離します。そのまま後方へ引いていけばDポジションで止まります。Rポジションを素早く通過させれば、後退の駆動力が発生することはありません。
ただし、車種によっては2ポジションに入ってしまうものもあります。その場合は、R・N・Dと3ノッチ動かしたところで止めます。
- 前進→後退
前進のポジション(D、2、L)から、ボタンを押さずにレバーを前方へ押します。いったんNポジションで止まるので、そこでボタンを押してさらにレバーを前方へ押します。Rに向かってレバーが動き始めたらすぐにボタンを離します。そのまま前方へ押せばRポジションで止まります。
初めからボタンを押しながらレバーを前方へ押すと、勢い余ってPポジションに入ってしまうことがあります。ストッパー機構を利用していったんNポジションで止めた方が、確実に操作できます。
- 駐車
ボタンを押したままレバーを目いっぱい前方へ押せばPポジションに入ります。Rポジションを素早く通過させれば、後退の駆動力が発生することはありません。
- エンジンブレーキ
Dポジションで走行している時にエンジンブレーキをかけるには、ボタンを押してレバーを後方へ引きます。2に向かってレバーが動き始めたらすぐにボタンを離します。そのまま後方へ引けば2ポジションで止まります。ただし、D→2のストッパーがない車種では、ボタンを押さずにレバーを動かします。
ボタンを押したままでレバーを後方へ引くと、Lポジションに入ってしまって、突然強いエンジンブレーキがかかるおそれがあります。
- 強いエンジンブレーキ
ボタンを押したままレバーを目いっぱい後方へ引けばLポジションに入ります。
ただし、下り坂でのエンジンブレーキは2ポジションで十分です。Lポジションでないとブレーキが焼けるというケースはまずありませんから、通常はLポジションを使う必要はないでしょう。
- エンジンブレーキの解除
エンジンブレーキを解除するためにL→2あるいは2→Dの方向へ移動する時は、絶対にボタンを押さないでください。ボタンを押さなければ、万一間違って(突然の揺れなどで)レバーを前方へ押しすぎたとしてもNポジションで止まり、RやPに入るという危険なことにならずにすみます。
私もそうですが、マニュアル車で免許を取った人には、オートマチック車の正しい操作法を習わなかった人が多いでしょう。ここで説明したのは、私が自分で体得した方法です。オートマチック車を運転する人はぜひマスターしてください。