No.55 2000/06/28
クリックはボタンを離した時にオン
Windowsのアクセサリプログラムの電卓を使っていた時のことです。時たま、クリックしたはずの数字が落ちていて、計算違いをしていました。
不思議に思っていましたが、ようやく原因がわかりました。電卓の画面上の数字ボタンをクリックする時にマウスを急いで動かしていたため、マウスボタンを離した瞬間にマウスカーソルが数字ボタンからはずれていたのです。マウスボタンを押した時に数字ボタンが引っ込んで見えるので、それで数字が入力されたように錯覚していたのですが、マウスカーソルを数字ボタン上にあるうちにマウスボタンを離さなければ数字が入力されないのです。
画面上のボタン(「OK」ボタンなど)をシングルクリックする際には、マウスボタンを押した時に画面上のボタンが引っ込んで見えるように表示されますが、ここですぐにシングルクリックというイベント(システムが認識する事象)が発生するのではありません。そのあとマウスボタンを離した時にシングルクリックのイベントが発生するのです。
この仕組みのおかげで、間違ってクリックしようとした時に、マウスボタンを押した後でもクリックを取り消すことができます。たとえば「ファイルを削除してもよろしいですか?」というメッセージに対して「はい」のボタンをクリックしようとしてマウスボタンを押した時、「あ、しまった!」と思っても、マウスボタンを離す前ならまだ間に合います。マウスボタンを押したままマウスを動かしてマウスカーソルを「はい」ボタンからはずし、それからマウスボタンを離せば、クリックは無効になります。もちろん、アプリケーションウィンドウのメニューボタンやウェブページ上のリンクについても同様です。
ただし、ダブルクリックは、2回目にマウスボタンを押した瞬間に有効になります。
考えてみれば、Windowsを使う上では当たり前のことでした。間違ってクリックしかけたのを取り消す操作は自然に身に付いていたのに、同じ理由で電卓の数字の入力が行われなかったことに、恥ずかしながら気付いていなかったのです。
コンピュータを扱うのが仕事で、何年もWindowsを使っていた私にしてこうでした。まして、パソコンを使い始めたばかりの方には、シングルクリックの正しい方法を明確に意識していなかった方が多いのではないでしょうか。ご参考になれば幸いです。