No.115 2001/12/01
掲示板にメールアドレスを書くのは考えもの

 第104回で紹介したスパムメールの中に、2001年7月15日に受けた、「WWW.GABACHO-NET.JP」と題する英語のメールがありました。「うちの検索サイトに登録しませんか」という勧誘です。なんとなく、もう一度来るものかどうか見てみたいと思ったので、これはスパムメール防御策でブロックしてはいませんでした。
 11月23日に、同じ所からまた来ました。今度は2通。そのうち1通は、なぜか、私のネットフレンドである辺見歯科医院さんのサイトへの勧誘でした。私のサイトへの勧誘は、ホームページに掲載していたアドレス「webmaster@gabacho-net.jp」に宛てられていましたが、辺見歯科医院さんのサイトへの勧誘は、私がその掲示板で開示したことのある「deo@gabacho-net.jp」に宛てられていました。おかしなことはまだありました。私の掲示板のお客様の一人から、「WWW.GABACHO-NET.JP」と題する英語のメールが届いたという報告があったのです。どうも、ウェブサイトオーナーへの勧誘を無関係の人にもばらまいているようです。
 ついに、その勧誘メールに記載されていたURLも拒絶条件に加えました。そして、私にならまだしも、私の掲示板のお客様にまでスパムメールをばらまくのは許せないと思って、次のような抗議を英文で送りました。
○○様
 私は日本のウェブサイトオーナーです。
 あなたの宣伝メールを何度か受信しました。私のウェブサイトへの勧誘だけでなく、私の友人のウェブサイトへの勧誘も受信しています。さらに、私のBBSに記事を投稿したことのある友人が、私のウェブサイトへの勧誘を受信しています。
 あなたのシステムは、一つのウェブサイト内のあらゆるページから見つけたあらゆるメールアドレスへメールを配っているように見えます。このようなシステムは、そのウェブサイトオーナーでない受取人にとっては迷惑です。もっとも、私は、ウェブサイトを持っている以上は、頼みもしていない商業メール(unsolicited commercial e-mail;訳注:いわゆるスパムメールのこと)を受信するリスクを承知していますけれども。
 無関係な人へのメールを止めるよう要求します。
 もし私に返事をくださるなら、あなたのURLをメッセージに含めないでください。さもないと、私のスパムフィルタによってブロックされます。
 よろしくお願いします。

 私は第113回で、メールアドレスをホーム(トップ)以外のページで開示すればスパマーにメールアドレスを拾われにくくなるかもしれないと述べました。しかし、あらゆるページからメールアドレスを拾うプログラムにかかれば、掲示板に自分のメールアドレスを開示した人もスパマーの餌食になってしまいます。
 インターネットが研究段階だったころには、メールのやり取りだけでなく、不特定多数の人たちのコミュニケーション手段であるネットニュースでも、本名とメールアドレスを開示するのがモラルであるとされていました。それが自分の言動についての責任の所在を明らかにする正しい態度であるという考え方だったのです。私は、つい先日まで、自分が掲示板に投稿する時にはその流儀を守ってメールアドレスを開示していました(本名は必ずしも開示せずにニックネームを名乗っていましたが)。そうする理由はほかにもありました。私の書き込みを見て私を頼ってくれた人が、公開できない事情のある事柄について私に相談したいと思った時に、すぐに私にメールを送ることができるようにという配慮です。
 しかし、インターネットが大衆化された今、善意の情報開示を悪用する奴らも増えました。だから、不特定多数のコミュニケーションにおいて、本名もメールアドレスも隠すことはやむを得ません。私は、掲示板への投稿でメールアドレスを開示しないようにしました。私自身を迷惑メールから守るためというよりも、むしろ、インターネットユーザーの皆さんが自分を守るための方策を私自ら実践するという考え方によるものです。

 それでも、どこかの掲示板で私の書き込みを見て、公開できない事情のある事柄について私に相談したいと思った人は、私にメールを送ることができます。私は書き込みの際に自分のホームページのURLを開示していますから、私のホームページにアクセスして、さらに「メールでのご連絡について」をクリックすれば、そこにメールアドレスがあります。
 私の掲示板で、メールアドレスを開示せずにコミュニケーションをしていた人たちがお互いにメールで連絡をとりたいという話になることもあるかもしれません。その場合も、どちらかの人が掲示板で自分のメールアドレスを開示する必要はありません。両方の人がそれぞれ私にメールで連絡してくれれば、私は、両者の合意を確認した上でメールアドレスの情報を中継してさしあげます。

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